Dr. Mellar P. Davis, MD, FCCP FAAHPM is the Director of Palliative Care, Geisinger Medical Center since 2016. He has been chair of the Palliative Care Study Group of the Multinational Association of Supportive Care (MASCC) since 2007 and a board member of MASCC since 2010. He was elected as a fellow to the American Academy of Hospice and Palliative Medicine (AAHPM) in 2010 and has been Editor in Chief of Progress on Palliative Care since 2008. His present duties within the AAHPM consist of Associate Editor in Chief of PC FACS (Fast Article Critical Summary for Clinicians in Palliative Care).
He will become the Editor in Chief of FACSW.
オピオイド誘発性痛覚過敏(OIH: opioid-induced hyperalgesia)は、NMDA受容体の活性化、およびダイノルフィンのκオピオイド受容体に対する活動性の増加によって発生する、オピオイドに対しての反応である。 脳幹の中では、コレシストキニンは上方制御され、吻側延髄腹内側部を通じて、オピオイドの下方への分泌の調整を抑制性から促進性へと変化させる。 臨床においてOIHは、オピオイド抵抗性を持つ患者に対して定量的感覚検査を行うことで測定されてきた。 オピオイド抵抗性を持つ患者には、寒冷昇圧試験での反応の亢進、温覚・痛覚の閾値の低下、時間的加重の増加(ワインドアップ現象)、条件刺激性疼痛調節 (CPM: conditioned pain modulation)の低下、処置に伴う痛みの憎悪などが見られることが、複数の研究によってわかっている。 患者は、痛みの性質の変化、より広範な痛み、オピオイドのタイトレーションの増加に伴う逆説的な痛みの増加、といった症状を経験する。 オピオイドの投与量を減少させることにより、OIHに伴う痛みを緩和することが可能であり、OIHにしばしば伴う神経毒による問題を解決することができる。 ギャバペンティンやケタミンなどの鎮痛補助薬は、OIHを防止するものであり、ギャバペンティンは、オピオイド療法の早期の段階で選択肢として考慮されるべきである。
異なる作動薬を用いるオピオイド・コンビネーションには、異なる鎮痛作用機序、下方への異なる伝達経路(Gタンパク質、βアレスチン、エステラーゼ)、異なる受容体による、タンパク質 (RGS) の相互作用のトラフィックや消去、痛みの多様な表現型への異なる反応、などがあり、単一のオピオイドを用いた鎮痛剤よりもメリットがある。最初に投与されたオピオイドの鎮痛効果に対する抵抗性は、2つめのオピオイドの投与によって阻害されることがあり、また、最初のオピオイドの細胞内シグナル伝達をアロステリックに修正すること(最初のオピオイドの伝達反応に機能的にバイアスする)、Gタンパク質の反応の消滅を妨げることや、最初のオピオイドによって引き起こされた受容体のトラフィックを妨げることがある。相互作用は、ダイマーを通じ、また、多数の異なるオピオイド受容体のサブタイプを通じて発生する。 相助効果は、調整するオピオイドが治療量以下の場合でも発現する。 しかしながら、相助効果はオピオイドの組み合わせ、量、種類によって、また患者個人の遺伝的な反応性により決まるものである。 臨床試験で報告されているオピオイド・コンビネーションには、オキシコドンとモルヒネ、モルヒネとメサドンの組み合わせがある。
オピオイド作動薬は、拮抗薬との組み合わせ、また、作動薬/拮抗薬との組み合わせで用いられてきた。 リンカーによって結合したオキシモルフォンとナルトリンドール(δ受容体の拮抗薬)は鎮痛効果を高めるが、これは、δ受容体によって破壊を誘発されるμ受容体が阻害されることによるものと考えられている 。ごく低量のナロキソンとナルトレキソン(ピコグラムまたはナノグラム単位)は、モルヒネによって誘発されるGタンパク質の活性化を防ぐ。 このコンビネーションを臨床で実用化するための試みは既に行われているが、作動薬と拮抗薬の治療指数は非常に狭く、臨床での実用性を制限するものである。 μ受容体拮抗薬であり、かつκ受容体作動薬であるナルブフィンは、全身性および髄腔内モルヒネ投与と組み合わせて使用されており、その利点には、鎮痛効果を失わずに呼吸抑制を軽減できること(ナロキソンと異なり、ナルブフィンはμ受容体逆作動薬ではない)、モルヒネによる掻痒感や吐き気の軽減、などがある。 最後に、末梢神経系に限定されるオピオイド拮抗薬(アルビモパン、メチルナルトレキソン、経口持続投与によるナロキソン、ペグ化ナロキソン)は、オピオイド誘発性の便秘や膀胱障害を軽減する。