皆様、
札幌医科大学血液内科学の小船雅義と申します。この度、2026年に開催予定の国際緩和ケアカンファレンスの大会長を務めさせていただくことになり、大変光栄に感じております。
まずは、ご参加をご検討いただいている皆様に心より感謝申し上げます。また、開催に向けて多大なるご尽力をいただいている全ての関係者の皆様にも深くお礼申し上げます。
緩和ケアの重要性は、がん医療全般において日々高まっています。私たち医療従事者には、患者の痛みや苦しみを和らげ、その生活の質(QOL)を最大限に引き上げる責務があります。そして、そのためには緩和ケアに対する理解を深め、技術を向上させることが求められています。
近年、がん治療は革新的に進歩しており、分子標的薬の他、免疫療法としての二重特異性抗体、CAR-T細胞療法の発展により、高齢者でも治療が可能となってきました。これらの進歩に伴い、患者さんの悩みも複雑化しており、緩和ケアの重要性と必要性が高まっています。
私たちは緩和ケアを実践しながら、がんの根治治療や遺伝子学的完解による病気との共存を目指していますが、それでも再発難治例で根治が望めない患者さんを診療する際には、終末期医療の在り方に、悩みを感じることがあります。
今回のカンファレンスでは、「免疫療法を含めた新規がん療法と緩和医療」、「がん疼痛に対するオピオイドの使用」や「安楽死問題と緩和ケア」といった、現在の医療界で重要なテーマを取り上げます。世界中から集まった専門家と知見を共有し、患者とそのご家族にとってより良いケアを提供するための手段を共に模索したいと考えております。
本カンファレンスを通じて、皆様と共に学び、未来に向けた新たな道を切り開いていくことを心から楽しみにしております。本カンファレンスが皆様にとって有意義なものとなり、今後の臨床や研究活動の一助となることを祈念いたします。
札幌医科大学 医学部
血液内科学 教授
小船 雅義