今回のがん緩和ケアに関する国際会議はCOVID-19
pandemic、ロシアのウクライナへの軍事侵攻のために第3回と第4回の合同学術集会になりました。始めの2日間は私が担当した第3回のプログラムを基本としています。また3日目は第4回大会長の三宅智先生の意図を汲んだプログラムが企画されています。そして私達2人の新たな主張も加わり充実した国際会議のプログラムとなりました。ここで始めの2日間の簡単な紹介をいたします。両日ともそれぞれ一つの物語となっています。
1日目、palliative oncologyの領域
シンポジウム「オピオイドとがんの痛み:進化するその科学と実践」
最近のオピオイドの基礎的研究の進歩には目覚しいものがあります。その基礎的研究の成果を理解し臨床の実践に応用する事で、がんの疼痛管理のさらなる効果が期待されます。そしてオピオイドは他の症状のメカニズムに深く関与すると言われています。本シンポジウムではオピオイドの最新の科学と実践が議論されます。演者の編成はDr.
Russell Portenoyにお願いしました。
ランチョンセミナー がん緩和ケアの先達、Prof. Stein Kaasaの「オンコロジ−と緩和ケアの統合、その歴史と未来への方向性」です。Clayton M.
Christensenの持続的・破壊的イノベーションを想起させます。
プレナリーセッション「臨床腫瘍学と緩和ケアの統合、最近の進歩」
この分野もそれぞれに新しい研究が展開されています。それらの第一人者の講演が用意されました。
2日目、Psycho-oncologyあるいは人文科学の領域
シンポジウム「なぜ緩和ケアにスピリチュアル・ケアを組み込む事が必要なのか」
スピリチュアル・ケアの重要性が謳われる中、特別に宗教を信仰しない非宗教者もそれを理解したいという希望があります。スピリチユアリティの本質的な議論が期待されます。
ランチョンセミナーはProf. Sheldon Solomonが「医療、そして生と死における緩和ケア:その実存的意義」を論じられます。
プレナリーセッション「実存的苦痛の要因とその緩和ケアへの影響」
実存的苦痛とスピチュアルな苦痛との異同が問題となっています。この視点が公で議論されるのは初めてのことです。またサイコオンコロジーの立場から実存的苦痛の本質とそのケアのあり方が解説されると思います。
その他第4回の三宅智大会長との話し合いで以下のプログラムも企画されました。
1日目の夕方にEuropean Association for Palliative Careの元会長、看護師である Prof. Philip Larkin、2日目の夕方に緩和ケアの医療政策研究の若手の専門家Dr.
Joseph Clarkのイブニングセミナーが企画されています。
第3回第4回SCPSC合同学術集会に参加されます皆様が、世界の最先端のpalliative
oncology、psycho-oncologyに触れると共に、札幌での新しい出会いが有意義でありますよう祈念いたします。
照井 健
第3回がん緩和ケアに関する国際会議 大会長
医療法人 東札幌病院
2022年11月24日